ジャイロアップは名機だけど…

30日は台風直撃。福岡でも風が強かったですが、思ったほどではありませんでした。

でも3、4日前からニュースでかなり報道されていたので、この日引き取り予定は入れてませんでした。ご依頼あっても、せっかくの日曜日でしたが、後日に周ってもらうことにしました。直近でご依頼頂いた方にも、ニュースでの扱いが大きかったからか、説明がしやすかったです。

 

というわけで今日はお休みですっ!

 

前回休みだったのは確か1月3日。超絶ブラック企業ReBike。それでも、いつもなら8月のお盆期間のうち1日くらいは毎年休みが取れてたはずなのですが、今年はなんだかんだでそれも有耶無耶に。だから9か月ぶりのお休み! 超うれしい!

 

…台風の日は多くの人にとっては厄日だと思います。

しかし!

お困りの皆様には大変申し訳ないですが!

あえて言いますが!

私にとって台風とは、神様がくれたイベントなのです!

さっきも書きましたが、バイク引き取りご依頼の方も、台風直撃となれば事情を察して先の予定にして下さる方ばかり。修理ご依頼の方も、そもそも風強すぎでバイクに乗ってる人がいないので「今から修理に来て!」とかいう電話や飛び込み客もない。

朝から晩までやりたいことやりたい放題して大丈夫なオフィシャル休日、それが台風の日なのです!

 

さて、今回は何をしようかしら?

家族サービス、好きな人デート誘う、積みまくってる本一気読み、放置してるホムペ構築、いい加減替え時なスマホ探しに天神行く。

やりたい事たくさんあります。どれもやりたい。次の休みがいつとれるか分からないし。

 

そんな私が今日選んだ選択はこちら!

 

 

 

ながーく引っ張ったわりに全く面白くない話でごめんなさいm(__)m

先日、某新聞販売店さまのTA01ジャイロアップ「ブレーキが利きにくいから見てくれ」という案件がありました。先日ちょっと書いたのですが、ブレーキよりも駆動系に限界きてて、部品を発注して次回持越しにしてた件です。

この新聞販売店のオーナー様にはとても贔屓にしてもらっています。

いつも「配達バイクが壊れたんで修理して欲しいんだけど、夕刊の時間までにできる?」と朝電話頂いて、「今日は店に帰れません!夕刊どころか明日の朝刊にすら間に合いませんごめんなさい!」と返すのが日常なのですが。

新聞販売店様は、毎日多くのバイクを使っていて、それも朝夕使うものなので、即対応できるバイク屋でないと業務に支障をきたします。

私はバイク引き取りの為しょっちゅう外に出ているので、即対応できません。私のところなんか普通は相手にされません。オーナー様も私のところなんかさっさと見捨てて、どこか他所のバイク屋さんに頼めば早いでしょうに、「今日はできる?」といつも電話してきて下さいます。

そんな人を差し置いて台風だから休むーとか、神様が許しても奥さんが許してくれませんとも。まあ、そんな人いないのですけどね。

そんなわけで今日はじっくり修理です。

TA01ジャイロアップはホンダの名機です。30年以上前の3輪スクーターです。その姉妹機TD01ジャイロエックスもまた名機ではあるのですが、「カーブでのコーナリング時も積んでる荷物が傾かない」という機構のおかげで、新型エックスよりもあえてジャイロアップを好んで使っているユーザー様も多数いらっしゃいます。

ただ、その「荷物が傾かない」独特な機構のせいで、メンテナンス性が悪く、整備に大変な手間がかかります。ドライブベルト交換の為に、荷台、リヤタイヤ2本とも、左側タイヤハウス、その他配線外して、ジャッキ3本かますか車体吊り上げてスイングアーム落として、キックケースを開けると、まあ大変面倒です。後継エックスの1・5倍くらい手間がかかります。エックスだって面倒なんですよ?普通のスクーターの2倍くらい面倒です。だから、アップは普通のスクーターの3倍面倒と言っても過言ではありません。

それはともかく、ホンダが4ストモデルにこの機構を引き継がなかったのは、それが原因じゃないかと思っています。

そしてキックケース開けてみたらギアオイルどぱーの図。

リヤドライブシャフトのシールが劣化してたようです。原因はドライブベルト切れじゃなくこれでした。いつからこうなってたか不明。メンテナンス性悪いですからね。多分新車の時からずっと、ここ開けたことなかったんじゃないかと。

 

こんなこともあろうかと取ってて良かったシール新品(写真上)です。

キックケース内、駆動系は全部オイルまみれだったので、消耗品以外は全部脱脂です。写真上側赤い箱に入ってるのが外した部品。写真下側の透明箱に入ってるのがガソリンで洗浄した再利用品。ドライブベルトは切れてませんでしたがかなり幅細。クラッチシューも同様。そもそもこんなに油まみれでは再利用はしない方が無難です。

キックケース内も脱脂洗浄します。ピカピカとは程遠いですが、脱脂は完ぺきに。

 

脱脂した後、必要な部品には適当にグリス。でもやりすぎたら本末転倒なので適度に。

消耗品は新品に交換。これらを順番に組み付けていきます。写真はここまで。

簡単そうに書いてますが、実際は3時間ほどかかりました。私的にはこれでも早くできたと思っているのですが。

ジャイロアップは名機です。コーナリング時に荷物が傾かない機構ってのは本当に便利。特にこんな台風の日でも、エックスならこける場面でも、アップなら持ちこたえる。乗る側としてはこれ大事だと思います。ただ、小さなシール1つの劣化のせいで、ここまでしなきゃならないに至るわけで、そうなると、やっぱりメンテナンス性も大事だなーなどと整備する側としては思ってしまいます。メーカーとしてはどっちを取るか、難しい所でしょう。