長期戦

今年の2月中旬のお話です。

とある不動産管理会社から相談の電話がありました。

「管理している物件に長いこと放置してるバイクがあって、大家さんのご意向で早急に処分したいと考えているが可能か?」

というもの。

2月といえば引越しシーズンです。「何か月間も、どうみても放置されてるバイク、ギリギリまで我慢したけど、もう限界、さっさと処分して新規のお客様の為のスペースを確保したい」、そんな大家さんが急増する時期です。

「条件付きですが可能です。まずは警告文の貼り付けはお済ですか?」

「警告文は半年前から貼っていて、警察と市役所での照会も済んでいる。名義人が住民でないことは確認済。大家さんのご意向もあるので早急に撤去したい。」

「了解しました。では依頼書を作成します。」

という流れで依頼書を頂き、現場で車体を確認、回収しました。

ですが、開錠してシート中身を確認すると現場住民のものと思われる書類を発見。聞いていた名義人とは違います。翌日不動産管理会社に電話しました。

「バイクの中に××さんという方の書類が入っていました。××さんは現在も現場ご在住でしょうか?」

「すぐ確認する。処分はちょっと待って欲しい。」

1日後、

「××さんの息子が手続き未完の所有者になっているとのことが分かった。許可を取るので保留して欲しい。」

と連絡が。手続き未完の所有者とは、ナンバープレートを登録していた人(名義人)から譲り受けて名義変更手続していない第3者のことです。元名義人は住所変更してて連絡取れず裁判命令も素通りしたのですが、今回改めて所有者が判明した以上、しばらく保管することに。しかし1か月たっても息子さんの許可が出ず、というか連絡が取れず、結局車体を元の場所に戻し様子を見ることになりました。

そして11月になった先日、改めて電話が。

「息子さんが帰省してるとのこと。電話して行って欲しい。」

8か月ぶりのゴーサインがでました。

車体は前と変わらず、外装あちこち割れててマフラーも脱落したまま、元の状態で元の場所にありました。今回は息子さんにも立ち会って頂き、私としては、通常の回収とすることができました。

息子さんにとっては、放置バイクとして回収される場合よりは不動産管理会社に罰金請求とかされない分マシなのですが、ひょっとしたら、いつか修理して乗るつもりだったので不満に思ってたかもしれません。聞きませんでしたが。

大家さんにとっては、すでに退去してる人だったら遠慮しないんでしょうけど、今回のようなケースでは泣くしかないんでしょうね。たぶん、他の住民の方からの苦情も相当あったと思いますし、何か放置自転車やら増えてますし、頭の痛いことだと思います。

両者の事情に触れる機会が多い放置バイクの撤去依頼は、なかなかすっきり解決できないケースが多いです。

ちなみに。今回のバイクはAF56ディオ。これを修理して乗れる様にするには、外見で判明してるだけでも、マフラーとバッテリーの交換、キャブのオーバーホールと、エンジンかかるようにするだけでも約3万円を超える金額が必要です。キーもなくされてるとなるとさらに1万数千円。もうこの状態ですでに他の中古車探した方が良い値段になります。