中古バイク輸出業界について
「バイクを買い取ったり無料で引き取ったりする会社」はたくさんありますが、どんな年式でも、どんな状態のバイクでもそれができる会社となると、数は限られます。
たとえば、比較的新しいモデル(新車発売から5年とか)のバイクでしたら、バイク〇さんはもちろん、街のバイク屋さんでもどこでも、買い取りや無料引き取りしてくれます。こういうバイクは、多少状態が悪くても、自分で修理して国内での流通が見込めるからです。
そうでない古いバイクとなると、買い取ったり無料で引き取ったりできるのは海外へ販路を持つバイク屋と鉄くず屋さんぐらいです。
鉄くず屋さん業界の話も後述しますが、まずは海外に販路を持つバイク屋業界のお話です。
昔は買い取りが主流でした
海外に販路を持つバイク屋業界では、かつては「買い取り」が主体でした。どんなバイクでも買います的な姿勢で宣伝してたと思います。弊社ReBike-リバイク-でも、「買い取り」と「無料引き取り」の扱いでは、「買い取り」の方が圧倒的に多かったです。弊社の以前のブログ
5年落ち以内の、国内に流せるような準新モデルは、今でも普通に買い取りできています。他の大手買い取り業者に負けることは今もないです。
ただ、それ以外、5年を超えたり普通に走らないバイクの場合は、ほとんどのモデルで買い取りはできなくなりつつあります。できるバイクはできるだけ買い取りしていますが、扱い台数のうち、「買い取り」よりも「無料引き取り」の数が圧倒的に多くなってしまっています。
それでも年間の輸出台数は変わらず。一社当たりの出荷台数は増え続けていて、弊社だけで見ても年間台数は10年前に比べて5倍以上となっています。それはやはり、後に述べる同業者の減少のせいだと思います。
中古バイク輸出業界のここ数年の歴史
ReBike-リバイク-が誕生した平成10年よりも少し前は、日本から輸出される中古バイクの行き先は、ほとんど中国でした。他の国も買ってくれてましたが、中国はとにかくどんな状態のバイクでもまとめてコンテナごと買ってくれてました。それから東南アジア、中南米、中東の国々が、中国より高く買ってくれるようになったのですが、この数年でまた変わりました。今はアフリカとかロシアとかが主流になっています。
10年くらい前にちょっと危機的な事態が生じました。かつて何でもかんでも買ってくれてた中国が、今度はものすごい安い新車を自国で作って世界で販売し始めたのです。
当時、「中国製の超安い新車が日本の中古車を押しやるかも。今は中国製はエンジン貧弱なんでアレだけど、近い将来は価格差でヤラれる」なんて前のブログで書いた記憶があります。
結果を申しますと、今のところ、そうはなってません。
でも、当の中国は、今はガソリンエンジン車よりも電動モーター車に力を入れていて、世界的にもエンジンから電動モーターへの移行進んでいます。それが加速すれば、中国製は今既に先行している分、日本製バイクにとって侮りがたい存在になると思います。
他の要因で日本製中古バイクが売れなくなってきてる
それよりも、この10年で変わったことがあります。むしろこちらが大問題。日本で発売される新車バイクは全て、4サイクルエンジン車のみになったことです。
4サイクルエンジンは、燃費も良く環境に優しい良いエンジンですが、昔主流だった2サイクルエンジンと比較するとパワーに劣るし、構造も複雑でメンテナンスが大変です。おかげで外国のバイヤー達に評判が良くありません。なので、貿易業界での中古バイク価格は、最新型4サイクルエンジン車よりも、20年前の2サイクルエンジン車の方が、価格的に優勢なんていう逆転現象が起きています。
減り続ける同業者
逆転現象、つまり輸出販売的に新しいバイクほど売り先に困るという環境下なもので、将来性ない業界だったのは昔からなのですが、若い人間が長く続かず、同業者の多くが店をたたむ事態となりました。
もともと少ない同業者がさらに少なくなって、競争がなくなってしまい相場は下落の一途、それでも1年間に廃棄されるバイクの数は変わらない、人手も売り先も足りない。こんな有り様なので、買い取りはおろか無料引き取りだけで手一杯、となってるのがこの業界の今の実情です。