モデル概要
ホンダの意欲的な作品です。発売は2001年から。
外観は見た通り、異端というか個性的というか。雨に濡れたらまずい部分、バッテリーや電装部品はフロントのボックス内に全部納められて、その他はパイプフレームだけのシンプルな構成です。いまどき当たり前な収納スペースは一切無し。それでいてライトは豪華な2連装備。
ズーマーが発売された当初は、この独特というか武骨なシルエットが若者に受けたようで、大人気モデルになりました。中古市場に流れてきたのは発売から随分経ったあとだと思います。
極太タイヤが目を引きます。縦横高さのサイズも普通のスクーターに比べて一回り大きいです。
エンジンは水冷4サイクル49cc。AF55スクーピーやAF56、AF57ディオのものと同じ出力のエンジンです。如何せん水冷4ストは非力、それにズーマーは普通のスクーターより重いので、スピードはそんなに出ません。どっしりした車体ですから、乗り方もどっしりした方が似合ってるかも。
車台番号はこちら。
乗った状態で左側。ステップボード(足を載せる部分)よりも下、アルミフレームが露出してる側面(赤い印)部分に刻印されています。アルミ腐食で見えにくいかも。AF58-OOOOOOO。車名:ホンダ、型式:BA-AF58(FI仕様はJBH-AF58)、原動機型式:AF55E(FI仕様はAF69E)、排気量:49cc。
【補足1】ACGスターター
ズーマーが搭載するエンジンAF55EはACGスターターが使われています。ACGとは交流発電機(AC Generator)の略。どんなバイクでもエンジン動かしたりライト点灯させるために電気が必要なので、必ずACGが付いているのですけど、AF55EのACGはちょっと特殊な形状をしているおかげで、普通の発電機としての役目と、エンジン停止時は逆方向に電気ながすことによってクランクシャフトを回転させるモーター(スターター)としての役目と、両方をこなすことができます。なのでACGスターターと呼ばれています。この方式では普通のセルスターターのようにギヤの飛び込み音やかみ合い音が発生しないので、始動音も大変静かです。おかげでAF55Eエンジンは、かかってるのか止まってるのか分からない、最初から最後まで静かなエンジンになっています。
【補足2】弱点はクランクベアリングです。
同じAF55Eエンジンを積んだAF55スクーピーやAF56、AF57ディオでも多少は発生するクランクベアリングのトラブルですが、ズーマーの場合は割と多く発生してるような印象を受けます。多分、ズーマー自体の車重の大きさがネック。あと若者は普通にフルスロットルでぶん回す傾向にあるため、無理がたたってる個体が多いせいだと思います。反面、AF55Eエンジンは他のスクーターエンジンと比較して分解しやすい構成になっています。特殊工具不要、それこそホームセンターに売ってるような一般工具だけで、最後のネジ一本になるまでほぼ全部分解組み立て可能です。
【補足3】前期型(キャブ仕様)、後期型(FI仕様)
2007年にマイナーチェンジしてFI仕様になりました。前期型と後期型、シルエット的には見分けが付かないです。自家塗装されたらもうほぼ見分け不能。ノーマルのままだという前提で、ボックス部分がカラフルでパイプフレームは黒一色(一部バージョン除く)とか、エアクリボックスに「FI」のシール貼ってるとか。他にハンドルがバーハンのように取り換え可能な構造とか、ウインカスイッチがプッシュキャンセル型になってるとかの違いぐらいです。後期型は、ズーマー人気が下火になった頃の発売なのでもともと数が少ないせいか、回収事例は少ないです。
写真は後期型の「スペシャルエディション」。
回収事例は前期型が圧倒的に多いです。
今日の回収事例
今日は唐津市と糸島市、宗像市で引き取り依頼をこなしました。
今日引き取ったズーマーは前期型、事故車でした。車と右直事故したとのこと。フロント大破。電装部品もやられてるので通電しませんが、エンジンだけは無事な模様でした。ナンバープレートの手続きも承りました。
他にAF61トゥデイ、
こちらもエンジンかかりませんが、それだけの模様。ナンバーの手続きはご自身で済まされていました。この件無料回収なのですが、ご依頼の方には「年末の忙しい時に来てくれたお礼だ」とコーヒーとビール券まで頂いてしまいました。本当にありがとうございます。
今日最後はNC34シャドーでした。
アメリカンの400ccです。国産モデルでは大きい部類のバイクですが、一応軽トラの荷台に収まります。それにしても非常に綺麗な状態で、実は3万km超えてるとは思えない個体です。大切に乗られていたのがよく分かります。エンジン実働。ナンバープレートの手続きも承りました。